アナと雪の女王 - Frozen - 映画解説と考察

アナは城を出てクリストフの姿を見つける。いよいよクライマックスだ。
ハンスがエルサにアナの死を告げると、エルサはショックと悲しみにくれてしまう。ハンスがそこをしめしめとエルサに剣を振り下ろそうとする。その瞬間を発見したアナは自分を犠牲にして、振り降ろされる剣とエルサの間で盾になったアナの身体は、完全に凍りついた。その硬直は、ハンスの剣を砕き、彼の体ごとはね除けた。
このシーン、どっかでみたことがある。思い出せないが、固まる自分を犠牲にしてなにかを守る、これは何かのオマージュだったりするんだろうか。
良くできているのは、盾になることと凍りつくことが絶妙であるところだ。凍りついていく体は身を蝕むが、凍りついた体は逆に守ってもくれる。映画『ファイナルカット』でもこのような美しい逆転が見られる。主人公が嘆き悲しむような負の状況から、それが今度は主人公を救う元になるという展開は見事である。もし興味があれば一度見てもらいたい。そのあとで、このアナと雪の女王を見直してもらえば、逆もまた真なりが見てとれるだろう。

エルサが凍りついたアナの体を抱きしめると、アナの身体が元に戻り生き返る。ここでエルサは、相手を思いやる「心」つまりキリスト教的に言えば愛が魔法を真にコントロールするのだと悟る。そしてエルサは、王国を自分の力で元に戻すことができた。

クリストフはアナと恋仲になるが、まだその恋愛は始まったばかりで、結婚を急ぐようなものではないようだ。年を取り、経験を積むということは用心深くなるということでもある。ハンスとアナの若気のいたり的な恋愛を望むとするなら、まだまだこれから多くのトラブルが待ち構えていることを知らない愚かな自分を戒める映画でもあると言えるだろう。

エンドロール後に、誰もいなくなってしまった氷の城で、雪の巨人がエルサのティアラを被る場面がある。これは何を意味するのだろうか。王を継承するというメタファーだろうが、北欧にこのような伝承やなにかがあったりするのだろうか。知っている人がいれば教えてほしい。

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