映画「emergo Apartment 143」 エメルゴアパートメント143 解説と感想

映画「emergo Apartmento 143」は男性二人、女性一人の超自然現象研究所のチームが、ある一家に起こる怪奇現象の解明に挑むストーリーだ。ホラーフリークにはこんなものでは物足りないようだが、そういう専門的なことは別にして、興味深いところがあったので感想をメモしておこう。
まずはあらすじを挙げてみる。

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※同ロドリゴ・コルテス監督作品「レッド・ライト」の考察もしてみました。

心理学者でもあるヘルザー博士、専門家(技術者)のポール、ゲートキーパー(通常精神的失調を起こした人を見守る人をゲートキーパーと呼ぶようだ。)兼助手のエレンたちが到着したのは、「goreme」と表記のあるアパートだ。現場はアメリカのカリフォルニア、モレノヴァレーの近くらしい。

低所得者層が住むようなアパート(メルボルンで言うコミッションフラットみたいだ)の一室に依頼人のホワイト一家の住む部屋がある。この部屋が現場であり舞台だ。室内にカメラや機材を設置し、怪奇現象を調査する段取りを整えていく。 (超自然現象(スパーナチュラル)といったほうが正確だろうが、日本では怪奇現象といったほうが馴染みな言い方に思う)

ホワイト一家は父親のアラン・ホワイト、ティーンエイジャーの娘ケイトリン・ホワイト、四歳の息子ベニー(ベジャミン・ホワイト)の三人で暮らしている。アランの妻のシンシア・ホワイトはすでに他界している。
妻の死亡後、リバーサイド(リバーサイド郡を指しているのか川岸なのかわからない)にあった家で怪奇現象が始まり、父親アランが職を失っていることもあってか安アパートに引っ越した。
一、二週間は治まったと思われていたが、再び怪奇現象は始まってしまい、研究所へ解明を依頼したという。

チームの滞在は金曜日の午後から週末いっぱいまでのようだ。機材を設置し終わったころからさっそく怪奇現象は起きる。天井から足音のような一定のリズムを保った音。古い黒電話の鳴り止まないベル。
家族から今までの経緯を聞くためにインタビューを行うが、ケイトリンは応じない。父親アランと幼児のベニーの二人が語る。怪奇現象について語るためのインタビューであるためか、ここでは妻シンシアの死については濁して、怪奇現象についてアランとベニーが掛け合わせて証言していく。

キッチンでは器具が飛んでたよ。
照明はついたり消えたり。ずっと繰り返して。

引越しをしてもそれは変わらなかったんです…

ヘルザーは初日の段階でケイトリンに目をつけていた。その夜、ヘルザーは父親アランに妻シンシアの死について、ケイトリンがその死についてどう受け取っているかを質問した。アランは

「妻はひどい自動車事故で死んだんです」
「娘はそれを私のせいだと思っている」
「どう接していいかわかりません」

と語っただけで、核心を逸らした。
弟のベニーは今回の怪奇現象には関係なく、調査の邪魔になると思われたのだろう、祖父に預けられていく。
その夜、降霊術師を呼んでチャネリングを試みるが、降霊を引き起こしたのはケイトリンで、取りつかれたような様相から出てくる言葉は父親を責めたて、ついには霊力により投げ飛ばしてしまう。(その取りつかれたときのケイトリンの声は父親の声に似ている)
ヘルザー博士はこの現象をポルターガイスト症候群と診断した。ヘルザー博士はアランへ妻の死について、薬物治療について、真実を語るよう、強く迫る。その告白の後、ケイトリンに異変が起き、ラストに続く。

総じてP.O.V方式(Point of view:人物や監視カメラの視点で撮影される手法)と言われるジャンルに入る撮影方法で作られていて、劇中に出てくる監視カメラやハンディカメラを視点にしている。ハンディなカメラワークと無理のない自然光撮影が臨場感を出している。

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●このホラー映画はなにを言いたいのか

なにかがひっかかる。この映画は観客をどこへ連れて行こうとしているのだろうか。そのひっかかりを求めて、ステップバイステップで探っていってみることにしよう。

One Reply to “映画「emergo Apartment 143」 エメルゴアパートメント143 解説と感想”

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